慢性前立腺炎でお悩みの方に
慢性前立腺炎は、前立腺炎と同じように、排尿痛や頻尿、下腹部痛、会陰部痛などの痛みや不快感、内腿の張り感を訴える症状です。
骨盤内静脈うっ滞症候群 、慢性骨盤疼痛症候群 などともいわれています。
下記の第219図は、金沢大学医学部 石川太刀雄教授の著書「内臓体壁反射」より引用したものです。点状で標された部位が慢性前立腺炎で苦痛を感じる部位だと記述されています。

仕事中のデスクワーク時、車を運転中など・・・ジーンと痛くなったりします。
また、自覚症状に対して精神的にも過敏になりやすい傾向があるようです。
ですから、少しばかりの自覚症状があっても、不安感を強く感じてしまい その結果、より違和感を感じてしまうのです。
そのような状態ですから、性機能の低下を訴えられる方もいらっしゃいます。
前立腺炎は細菌が原因であるのに対して、慢性前立腺炎は原因となる菌が明確ではなく、非細菌性のものを総称する症候名です。
慢性前立腺炎は このような病態なので、泌尿器科などの専門医の処置・投薬などにも反応しにくい例が多く難治な症状なのです。
しかし、東洋医学的に診察すると、恥骨上部の腫脹や緊張、腹筋の張り、下肢の冷えや浮腫み、緊張があることが多いようで、当院では下記の仮説をたて 慢性前立腺炎の鍼灸治療を実施しています。西洋医学でも、骨盤内静脈うっ滞症候群ともいわれるように循環が悪いのかもしれません。
◆慢性前立腺炎の仮説
- 骨盤底筋郡の過緊張
- 排尿筋の収縮力が弱い
- 膀胱・尿道の障害
- 交感神経の興奮
- 骨盤内の充血
- 心身症的な過敏性
◆治療は
- 最初に 血液の循環を改善させ、精神的にも力を抜いてもらうために全身に軽めの鍼灸を施します。
- 腰臀部、下腹部に深めの鍼をして、その後 お灸。
- 全身を手技療法でほぐして、特に股関節や内腿を丁寧にゆるめリンパの流れを促進させます。
そして、治療のポイント(ツボ)を決めるために、石川太刀雄教授製作の石川式皮電計(下記写真)やノイロメーターを使い、皮膚の電気抵抗の減弱点(皮電点・良導点)を探索した後、指頭で圧痛(凝り・痛み)を確認して鍼灸を施していきます。

特に、下腹部、腰部、脚の内側が重要なポイントとなります。以下の画像は下腹部と仙骨部の深めの鍼です。

中極穴:下腹部恥骨スグ上
恥骨上部に位置する中極穴や曲骨穴は、尿道口や陰茎にそって、ツーンとした響きを感じることがあります。
初体験の方は、みなさんその感覚にビックリされます。
(上手く刺入すれば痛くはないですよ)

次リョウ:仙骨の上
次リョウ穴は、骨盤の仙骨上に位置しています。
上手く 刺激をしていくと腰・骨盤全体がだるく感じたり、足が温かくなったりする反応があります。
また、お尻の割れ目のすぐ横には、陰部神経が走行しているため、会陰部に違和感がある方には陰部神経に鍼をおこないます。
私の臨床経験では、これらの穴(ツボ)には、深めに鍼を刺入して鍼の響きを感じるようにするということ、また、 お灸の瞬間的なチクッとした熱さを感じるさせた方が、無感覚の鍼灸刺激より 効果が高い症例が多かったです。
鍼の響きは、注射の痛み方とは違い、凝った筋肉を強めに押さえると痛いけど気持ちのよい・・・そのような感覚だと想像してください。(初めてだと痛い?びっくり?されるかもしれませんね)
当院では、このような過程で、慢性前立腺炎の治療を実施いたします。
鍼灸の刺激(ひびき)で自覚症状に対する身体の感受性を変えることができます。(結果として心身の過敏さも軽減され、同じ症状であっても軽く感じます)
また、異常がある内臓の反射は皮膚、筋肉に現れますので、その部位を刺激することで効果が上がります。
当院に慢性前立腺炎で来院されている方は、20~50歳代が多いです。
それも、遠方から来院される方もかなりいらっしゃります。
やはり、慢性前立腺炎にお悩みの方が多いのでしょうね。
発症されてから日にちが長い方ほど 治療日数がかかります。
何年も経過している症状は、治療を数回実施して効果を判別するしかありません。
長年お悩みの方は、治療後
「今までより軽くなった感じがする。」
「日常生活なんとか過ごすことができるようになった。」と言われ、治療効果に満足して定期的に通院を続けられる方もいらっしゃいます。
完全に治ることは難しい病気かもしれませんが、西洋医学、薬物療法で 確実な治療法がない現在、鍼灸治療を受診するのも1つの選択肢だと思います。






