世間では、東洋医学は現代医学の薬や手術などと比べると副作用がないというイメージが強いと思います。
はたしてそうでしょうか?
鍼灸業界の学術系雑誌には、鍼灸のリスクなど研究者の発表が誌面をにぎわしていることをご存知ないことと思います。
鍼灸治療に対して、いかにリスクを防ぐか!ということが大切なのです。
西洋医学の治療薬や漢方薬には添付書が入っていて、使用上の注意や副作用などが記載され、医学界では今や常識になっています。
このような現状の中で、東洋医学の世界では、治療後に起こる一時的な倦怠感や症状悪化を『瞑眩』(めんげん)として、症状好転の兆しありで良いことであると解釈する傾向があります。
当院で実施している鍼灸治療は、刺激療法の範疇に入りますので、自律神経を揺さぶり、生体反応を高めることを主眼としているため、半日~1日くらい『瞑眩』が起きることがあります。
しかし、数日間、寝込むような治療による副作用まで『瞑眩』ですませる治療者もいます。
効いた治ったという鍼灸治療の有利さだけをアピールすることだけではなく、副作用のようなデーターも公開できることが、より鍼灸治療を医学的な信頼できる治療体系までレベルアップできるものと思っています。
鍼治療の副作用
| 全身の副作用 | 発生患者(%)※(発生患者数/受療患者数) | 局所の反応 | 発生刺鍼率(%)※※ (発生鍼数/総刺鍼数) |
| ・疲労感、倦怠感 | 8.2 | ・微量の出血 | 2.6 |
| ・眠気 | 2.8 | ・刺鍼時痛 | 0.7 |
| ・症状一時悪化 | 2.8 | ・皮下出血 | 0.3 |
| ・刺鍼掻痒感 | 1.0 | ・治療後の刺鍼部痛 | 0.1 |
| ・めまい、ふらつき | 0.8 | ・皮下血腫 | 0.1 |
| ・気分不快、吐気 | 0.8 | ・置鍼中の疼痛、不快感 | 0,03 |
| ・頭痛 | 0.5 |
参考文献 山下 仁ほか、鍼灸の副作用。医学のあゆみ 196:765-767,2001
※100人の違う患者が受療した場合、何人に発生するかの目安
※※鍼を100回刺した場合、何回発生するかの目安
鍼は、古来より『気を整える』といわれています。みなさんも、鋭利な刃物の刃先をじっ~と見ていると、ゾクゾク!(+_+)と鳥肌がたったり、息を呑んだりしませんか?
鍼も鋭利な鍼先ですよね。気持を集中させる作用があるかもしれません。
ですから、使い様によっては、副作用が発生しやすいのではないでしょうか?
灸の副作用
過去の灸の副作用に関する国内文献調査では、灸痕から発生した皮膚癌が9例、水泡性類疱瘡が5例報告されています。この全報告から、かなり大きな灸(小大豆状)を連続してすえ続けた結果だと思われます。
実際、鍼灸師がおこなう灸治療は、米粒の半分くらいの大きさです。このくらいの大きさならば、全く問題はありません。(当院では、漢方薬の火傷の薬を皮膚に塗った上から、ゴマ粒状の灸をします。痕は、まったくつきません。ご安心ください。)
また、重症の糖尿病、ステロイド剤を多量に服用している方、免疫抑制剤を服用中の方なども、生体の免疫力が極端に低下しているため、注意した方がよいと思います。
その他は、灸に関しての副作用の報告は見当たりません。比較的灸は、副作用のない治療法といえるかもしれません。
私の長年の臨床経験から
全身性副作用は、鍼灸の刺激量過多、初診時に患者さん側が緊張感がある時、過労や睡眠不足、神経症(心気症)、気圧の変動時、アレルギー体質、低血圧、貧血傾向、汗をかきにくい体質、月経1週間前後、自律神経の不安定時や サービス過剰で体質・症状に不適切な長すぎる治療を受けた後に起こりやすいと思います。
局所の反応は、鍼灸師が粗暴な技術を行った時、ワーファリンなどの血液を凝固させない薬や鎮痛剤・安定剤・抗うつ薬を常用されている方、不妊症等でホルモン療法を実施している方、過去・現在に抗がん剤を使用した方、金属アレルギーの方、老齢で血管のもろい方、筋力が弱く浮腫みやすい方など内出血を起したり、皮下血腫になりやすい傾向があります。
特に薬物療法を数週間単位で実施された方は、服用が終わっても 体質はまだ正常には戻りにくいものです。
ですから数週間~数か月は、局所反応が起こりやすい可能性があります。
また、部位的には目の周り、前頚部、腹部、内腿などの刺鍼時などに起きやすいと思われます。
以上、全身性副作用、局所の反応は、熟練した鍼灸師が体調を診たてれば体質などの問題による副作用は避けて通ることができますが、薬物を飲用されてる患者様の副作用は避けることは困難なことが多いです。
治療後の過ごし方で、また調子が悪くなる方もいます
1、治療後は、新陳代謝が改善され、風邪の引き始めのような体調になります。
免疫が高まり、血管、汗腺も広がります。その時に、エアコンの冷気、扇風機の風などを患部に当てたりすると、急速に冷やすことになり筋肉がこわばることがあります。
筋違いを起しやすいのでご注意をお願いします。
2、痛みの症状は鍼灸刺激で痛みだけを緩和しているため、患部の炎症はまだ治りきっていません。
楽になったということで、また動かれると、症状がぶり返してしまいます。安静が必要です。
3、アルコールなどは、血液循環が良くなっているため、酔いやすくなったりします。ご注意を。。
以上、鍼灸治療の副作用を述べましたが
そのほとんどが、一時期の違和感、見た目などの不都合はありますが、症状がひどくなったり、回復が遅れたりすることは、いっさいありません。
ご心配なさらないようお願いいたします。





